それぞれが背負うもの
いよいよ今週の木曜日に、来年日本へチャレンジする選手を決める
セレクションが行われます。
今回は、今年日本に行ったラシーナ以外の選手2名が選ばれ
来年夏頃に日本に野球短期留学する予定です。
今日は、そんな中で注目選手を紹介します。
紹介する彼は、僕が日本にぜひ行ってもらいたいと思う選手の一人です。
写真の彼の名前は、カッファロ・アミール
ラシーナと同い年の15歳です。
グンゲンチームに所属をしており、ポジションはピッチャーです。
4年程前、当時10~11歳のアミールは、近所に住んでいた外国人に「何をしにブルキナに来たの?」と質問をしました。それまでは、何度か見かけたことがありましたが、話したのはこの時が初めてでした。
そこで「ベースボール」という聞き慣れないスポーツを耳にします・・・
聞いたことも無いスポーツにとまどいましたが、外国人に「やってみよう!」と誘われ、友達を誘い次の日にそのスポーツをやってみることにしました・・・
これが、グンゲンチームの全てはじまりです。その外国人というのが
ブルキナファソの初代野球隊員 日本人ボランティアでした
もし、あの時アミールが見知らぬ外国人に話をかけてなかったら・・・
グンゲンチームはなく、ラシーナさえ野球をやっていなかったかもしれません。
その後もアミールは、練習に熱心に取り組み、どっぷり野球の魅力にはまっていきました。
自由奔放で自分勝手、ワガママな性格は練習中によく怒られましたが、
ダルビッシュ投手に憧れ、自宅の庭にマウンドをつくり、毎日シャドーピッチングも行いました。
小学校が終わると、すぐにグランドに向かい、時には少しのフライングに先生から叱られたこともありました。
僕と出逢ったのは、それから4年後・・・
毎回練習には必ず来て、野球が大好きであることは変わっていませんでした。
そして、ワガママな性格も・・・
気に食わないことがあると、すぐに表情に現れ、他の選手と一番よくケンカをするのはアミールです。
普段は同年代の子では、少し年下の子たちと一緒にいることが多く、
決して賢くもなく、不器用な性格です。
【写真】バッターがアミール
しかし、そんな彼が変わった時期がありました。
それは、ラシーナが日本に行っていた間です。
グンゲンチームのキャプテンであったラシーナがいない間、キャプテンのようにチームをまとめていました。
他の選手を注意したり、周りに気を配る姿には少し彼の成長を感じ、感心しました。
しかし、ラシーナが帰国後はなんだか元通りに戻った気がします。
そんなところも、なんだか憎めない奴と思ってしまいます笑
野球のセンスも、正直高くありません。
体が硬いのが致命的で、140㎞/hを投げることを目標にしていますが
現在の球速は120㎞/hにも達していません。
それでも、必死に練習をし、「プロになりたい」といつも口にする彼は、
ブルキナで一番強く日本のプロ野球に憧れを持っていると感じます。
彼は、お父さん、お母さん、二人の弟、お姉さんとお姉さんの娘と親戚数名で
一緒に暮らしています。
決して裕福では家庭環境で、最近まで授業料が払えなく学校に行くことができませんでした。
選手たちが、お互いの学校の宿題を見せ合っている輪の中に、入れないアミールの姿を一度だけ見たことがあります。
野球のやっている姿とは、まったく違う寂しそうな表情が印象的でした。
もしかすると、日本でプロになってお金を稼ぐというのもモチベーションになっているかもしれません。
ブルキナの選手たちにも、一人ひとりに様々なストーリーがあり、背負っているものがあります。
いよいよセレクションまで、あと2日です!!